「クライミング」カテゴリーアーカイブ

晴耕雨読への憧れ

2017.6.24 C.P.菊南

雨の土曜日。
梅雨の時期、もともと山行計画はないので気は楽だ。
それなのに何故かいつもより早く起きてしまう。
以前からやりたかったトイレの掃除をすると、もうこれだけで充実した休日になった。後はゆっくり本でも開く。

先日は有給休暇を半日分取って我が家の田植えの「手伝い」をした。
89歳の父が「血圧が高くてふらふらする・・」と言うからだ。
だいたい89歳にもなったら血圧が高くなるのはあたりまえだろう。
そして、89歳になっても田植えをするのはあたりまえじゃあない。
実際の田植えは私の娘婿が行った。
彼は農業のプロで、彼が田植え機で植えた苗の並び方は本当に職人技といえる。
私は今の仕事を30数年やって、田植えの為に有給を取ったのは初めてだ。
平日に有給を取り辛い仕事ではあるが、そう思い込んでいるのは自分自身の驕りだろう。半日ぐらい私がいなくても実際はどおってことはない。仕事は毎日あるが田植えは年に一回しかないのだ。
老いて体が小さくなった父と田んぼで過ごす時間が大事だと分かるのに30数年かかった。

「晴耕雨読」には憧れる。
「もうすぐ嫌でもそうなるよ!」という声が聞こえてきそうだが。

今日は村上春樹の「走ることについて語るときに僕の語ること」を読んだ。本の中の「ランナー」という言葉はすべて「クライマー」と読み替えることができる。
たとえば、「クライミングは万人に向いたスポーツではない。人は基本的には、なるべくしてクライマーになるのだ。」と。
東京オリンピックに向けてクライミングはブームになっているが、まったく山にも登らない人に「クライミングは面白いですよ。やってみませんか?」なんて声かけはもうやめようとも思った。
 山江の万江川渓谷に東秀磯が拓いた「風の歌を聴け 5.11b」というルートがある。さすがに東さんはお洒落なルート名をつけるなと登ったときに感心していたが、村上春樹30歳の時の処女作(不適切用語か?)が「風の歌を聴け」であることをこの本で知った。東さんもハルキストなのか。
写真は「2014年11月8日、風の歌~」を登るYさん。※私の写真はない。

外は雨だからといって、本ばかりも読んでいられない。
キッズで混む前にと「クライミングパーク菊南」に昼前から行った。
春からの蓄積疲労で体が不協和音を奏でていたが、丸々一週間もクライミングを休んだので調子はまずまずだった。
梅雨時でも登れるジムはやはり有難い。

写真はジムのインストラクターになれそうなあり吉さん。

日向神:乾期の歌RP

2017.6.18 日向神クライミング

  あそ望の会友が沢登りに行ってしまったので、山崎・原口組に同行した。今日の日向神は珍しく熊本県人の割合が高かった。

午前中はサンセットエリア下部
①エルニーニョ(5.11a) リピート
②セッコクランを盗らないで(5.11c) NG
③セッコクランを盗らないで(5.11c) RP
④プリティーウーマン (5.11a) リピート
⑤乾期の歌 (5.10d) NG
⑥乾期の歌 (5.10d) RP
午後は道端エリア
⑦グリコのおまけ (5.12a) NG
⑧花子 (5.11a) NG

まず①エルニーニョ(5.11a)でアップをするとまったくストレスなく登れた。梅雨に入ったというのに岩はカラカラに乾いていて、「今日は好調だな」と胸の中でつぶやいた。5月に疲労した背中もやっと癒えてきた。
そこで、以前からの課題として残っていた「セッコクランを盗らないで 5.11c」にねらいを定めた。このルートは上部がドーム状にふくらんでいてこのエリアの中では目立っている。
②のマスタートライは予想外に1Tでけっこう楽に行ってしまった。
2014年11月の初トライの時はかなり怖かった最後のクリップも「なくても行ける!」と思うぐらい足で乗れていた。
③でうれしいRP。

岩場自体が完全に乾ききっていたので、今まで手をつけていなかった一番左にある「乾期の歌 5.10d」に取り付いた。今日登らなければなかなかチャンスはないだろう。
下から見てルートは右か左かはっきりせず、⑤で思い切って登りはじめるとすぐにホールドが見えなくなってきた。しかたがないのでクライムダウンして登り返すと足がすべってしまった。けっこう傾斜があり面白い。
⑥では楽にレッドポイントできた。上部は乾いた苔で真っ黒くしている。このルートを登った人は少ないと思う。

【写真は本日のカメラマンをお願いしたかおりさんの「物見遊山 5.10d」トライ中】
この後、初夏の陽光が彼女をつつんだ。

 

 

 

 

サンセットの午後は西日が当たって大変なので道端エリアへ移動した。
還暦記念クライミングで赤いブランド物のTシャツを着た山崎さんが「グリコのおまけ 5.12a」にヌンチャクをかけられたので【写真】、有難く登らせてもらった。
今日が2回目のトライで、初めて終了点まで到達できた。上部はかなりの強傾斜なのでムーブ作りが大事だ。なんとかなりそうな気持ちは持てた。

 

 

最後に「花子 5.11a」に取り付いたら終了点のチェーンをつかんでしまった。なんとも歳をとると自分が疲れていることすら分からなくなるようだ。
私ももうすぐ還暦クライマーになってしまう。まだしばらくは白い靴下と白シャツが似合う男でありたい。

日向神:中央エリア

2017.6.10 日向神:中央エリア

初めての中央エリア。メンバーは空さん、あり吉さん、そして私の3人。
エリアの場所はサンセットへの登路の途中から右へトラバース気味に行った所。かわいい案内板がある。

①アンダーアッパー(5.10b) MOS(マスターオンサイト)
②逆層フェイス(5.10d) MOS
③パワーステース(5.10c) MOS
黒苔(5.11a)  MOS
⑤気難しい終了点(5.10c) OS
⑥ピッチングエッジ(5.10c) MOS
⑦八女茶のチャチャチャ(5.10a) リピート サンセット

今回、現地トポを見ながら登ると「逆層フェイス」と「パワーステース」が5.11a、「黒苔」が5.11bとなっており、一日でイレブン3本ゲットと喜んで帰った。
そして夜になって記録をまとめようと「K1ヒュッテ」からトポをダウンロードすると上記のようにグレードダウンしていた。
実際登っていてえらく甘いグレードだとは思っていた。

 
まだここは新しいエリアで、登っていると小石が時々落ちるのでビレイヤーはヘルメットが必携だ。
午前中は陽が当たり夏場は暑いが、午後は日陰になって登り易くなる。
【写真はピッチングエッジを登る私。撮影はあり吉さん】

注意点はボルトだ。アンカー部分はヒルティのグージョンタイプが多く、オールアンカータイプも見られる。ハンガー部分は鉄製のシャックルで初期の物はサビが出ている。慣れないので最初はマルチルートを登っているような感じで落ちられない。
【夏なので日焼け対策に白い長袖シャツで登る私。ビレイヤーは空さん。】

岩野山に久しぶりの1本

2017.6.3 岩野山ルート開拓・県体壁

今日は山三昧であった。

①岩野山駐車場の草刈
まだ草があまり大きくなっていないので、刈払い機のナイロンワイヤーで一気にきれいにできた。

②前傾壁 モンローウォーク(5.11a  B5   15m)開拓
 久しぶりの新ルート開拓である。下部は階段状でテラスから上の右上クラックの辺りが核心となる。当初はトップロープでもかなり難しく感じていてクリップ動作に入れず、リードルートとしての設定を諦めていた。しかし、福岡の女性クライマーのムーブからヒントを得て余裕を持って登れるようになったのでリードルートとして設定した。ビレイでは空さん、ヒロさんのお世話になった。【写真はトップロープでトライする空さん】
岩野山はクチナシの花が満開であった。

③あそ望山岳会の例会
例会は通常、県立体育館で行うのだが熊本地震の影響でまだ使えない。近くの公民館を使うのだが和室は狭くて使い辛い。夏ごろから体育館も使えるそうである。

④県体壁 右:黄緑ルート(5.11+)をRP
 この頃課題としていた黄緑が登れた。6便目である。岩野山のボルト打ちで疲れていたが明るいうちなので登りやすかった。県体壁での私のこれまでの最高グレードは5.11cだったので記録更新となった。

腰痛を押して八面山

2017.5.20 八面山クライミング(中部エリア)

八面山中部エリア(初)でのクライミング計画が整ってからの1週間はわくわくして過ごせた。仕事や雑事の毎日でも山行計画があると心の張りが違う。

ところで、腰痛の原因は明らかである。2週間前の日向神で初の5.12aルート「日曜よりの使者」を登った後の疲労が抜けきらぬままになっていたのである。そして前の日「クライミングの前日だがランニングなら良かろう」と走るトレーニングを行った。それも坂道100m全力ダッシュを5本。特に「前傾姿勢」を意識して走ったら体感スピードが2割増しで調子に乗りすぎた。夜になったらぎっくり腰みたいに痛んだ。

午前7時、キーボウさんと空さんが我が家に集合して一路八面山に出発。腰の痛い私はキーボウ車の後部座席に寝転び、井上陽水の曲で全くモチベーションが上がらなかった。
午前10時過ぎ、八面山に到着。中部エリアには先客が4人おられた。
① さくら(5.10a) MOS きれいな凹角からフェース。アップ。
② いつでも夢を (5.11a) MOS 最上部にクラックがある。
③ かもめのジョナサン (5.11a)   NG 出だしのハングで足が乗らなかった。
④ かもめのジョナサン (5.11a)RP 足がきれいに決まった。
⑤ コンペイ糖の踊り (5.11a) MOS 本日会心の1本。このルートには二つ★ぐらいあげたい。
⑥ 七つの子 (5.10a) OS 立った凹角とクラックが曲者。クールダウン。

ということで、5.11aのルートを3本ゲットできた。前回(4月29~30日)の八面山上部エリアでは全く初めてだったので5.10台のルートや人気のない5.11に手を出してあまり成果をあげられなかった。その反省から今回は5.11aのルートに目標をしぼったのが良かった。腰も登っているときは痛みが出ない。
キーボウさんは「かもめのジョナサン」をねばりのクライミングでRP。空さんは凹角登りに奮闘した一日だった。
午後4時に終了。途中で名物のから揚げを買い、日田の花火大会の渋滞にあいながらもドライブ3時間で我が家に着いた。

夜、お楽しみのデジカメ写真を見てみると、なんと全部「動画」であった。1本10数分の動画がたくさん入っていた。これまでの私の人生60年分の動画より長い分量ではないか! しかも全編に「ふ~、は~」という荒い息遣いが聞こえる。今日のカメラマンは空さん。「たくさん撮ってください。」とお願いはしたが・・・。(涙)
かろうじて、私が「かもめのジョナサン」から降りてくる写真が1枚だけ入っていた。


しかたがないので私が空さんを撮った写真でも載せよう。
クライミングも写真も、ガンバ!

初の5.12aは「日曜よりの使者」

2017.5.4 日向神クライミング (サンセット・道端エリア)

本匠でGW合宿の予定であったが向こうは雨模様だったので日向神に来た。急な変更であったがメンバーはヒロ、ヒロジー、キーボウ、福島さん、大輔くん、ヒロ弟さん、私の7人集まった。サンセットでは山崎夫婦もご一緒した。

①八女茶のチャチャチャ(5.10a  土村) リピート
②日曜よりの使者(5.12a  山崎) ヌンチャクかけ
③日曜よりの使者(5.12a  山崎) RP
④星に願いを (5.11a/b 西郷) NG
星に願いを (5.11a/b 西郷) NG
⑥愛のウカイライン(5.10c 長友) リピート
⑦梅雨のあとさき(5.10a  長友) リピート
⑧春の光   (5.11d) NG 道端エリア

「日曜~」は4月23日に続き、2日間5便目でのRPである。最上部を少し左から回ったのが心に引っかかったが、隣で登っておられた開拓者の山崎さんから「限定はありません」という言葉をいただいた。いつの日か納得の行く登りをしたい。
とりあえずは、私自身初の5.12である。素直にうれしい。
【写真の右が「日曜~」の私。左は「善秋くん~」を登る山崎さん。ビレイヤーはキーボウさん」

しかし遂に5.12の扉を開けることができた。この調子でじっくり登っていれば「5.12を5本ぐらいいけるかもしれない」とも思う。もうすぐ齢(よわい)60にならんとするが、このまま「欲張り爺さん」と呼ばれるまで登り続けたい。
プロジェクト「100イレブン」も75まで来た。

 

高校生の大輔くんが「日曜~」を続けてRPした。彼の足さばきやカチ持ちはうますぎて参考にならない。

 

八面山探訪の二日間

2017.4.29~30   八面山クライミング

初めて八面山で登った。
初めてだけに楽しいことも困ったこともあって面白かった。

4月29日(土)
5:50 泗水の自宅を出発。菊池~兵戸峠~日田市~青の洞門~八面山のコースで114km、ナビで3時間半の予定。
早朝でもあり、あまり早く着きそうだったので、日田市の咸宜園や豆田の街並みを車窓見学。咸宜園は広瀬淡窓の私塾で熊本の鹿本町出身の総理大臣「清浦奎吾」が学んだことでも有名。青の洞門も15年ぶりぐらいで見逃せず寄ってみた。そして夜は行こうと思っている「金色温泉」も偵察。それでも9:00には野外音楽堂に着き、ヒロさん・福島さんと合流した。たぶんまっすぐ来れば2時間半程度であろう。

車道の終点に車を停める。「100岩」には数台駐車可能と記されているが、道幅があるのでたくさん停められる。ガイドブックに従って岩場に着くも、どうもルートがよく分からない。しばらく迷っていると、フィックスロープの終わりから左に行ったのが間違いで右に行かなければならないことに気づいた。
やっと岩場に着くと先客は一人だった。あとで北九州のグループが来られた。

①カプチーノ(5.9) MOS アップに良い。
②フレンド(5.10b) MOS クラックもあって久しぶりのジャム。
③ほうき星(5.11a/b) NG ほとんど登られていない。右のクラックで上まで。
④シティライン(5.10c) MOS このエリアの看板らしく、目立つフレークを豪快に登れる好ルート。
⑤烏天狗(5.11a) NG 下部はうまく抜けたが、ガバを取りに行く姿勢が安定せずテンション。上部はガバが続く。
⑥烏天狗(5.11a) RP (2便目) こんな見事なガバはめったにない。つかんだ瞬間嬉しくなる。
⑦姫(5.11a) NG 中間部でテンションがかかる。核心部は左に手を伸ばして越えた。

【写真は烏天狗(5.11a)の下部
ヒロさん撮影】

日帰りの二人と別れ、時間つぶしに「中部エリア」の偵察に行った。
ガイドブックに従い、岩場まで降りた。しかし岩はあるがルートが見当たらない。どこまでも続く岩場の基部をさらに西に進むと帰りがけのクライマーに会い、ルートを教えていただいた。どれも5.11~12でなんとなく登る気持ちがわかない雰囲気のエリアだ。
この後、不覚にも岩場に下りてきた道を見過ごしてしまった。気づくとどの岩も同じように見えて絶壁がどこまでも続き上に登れるところがない。時々ボルトラインが現れ踏み跡もあるので更に進むと、何か見覚えのあるの岩場に達した。「あっ」と叫ぶとそこはさっきまでいた「上部エリア」だった。中部と上部は何百メートルも続く岩場のほんの一部だったのである。

金色温泉は山間(やまあい)のひなびた温泉宿と思いきや、夕方行くと駐車場に車が停められないほどの賑わいをみせる立派な温泉だった。入湯料も600円と少し高い。
露天風呂で疲れを取るためのストレッチをしていると18歳ぐらいの女性従業員の方が近くで検温や掃除を始めたので何故か疲れが吹き飛んだ。
風呂上りの夕食は「ふるさと三昧定食 1280円」を奮発。指先の皮が薄くなっていて熱いだんご汁のどんぶりが持てなかった。

 

午後9時にヤマアキさんが到着。テントの中で忘年会から残っていた梅酒をやっと飲み干して午前0時に就寝。

4月30日(日)
快晴。朝食はサトウのご飯にレトルトカレー、それに生卵をかけてかきこんだ。
午前9時にフジミさんが到着。3人でまた「上部エリア」に下りた。

①カプチーノ(5.9) リピート
②姫(5.11a) RP (2便目) 朝から体が動いた。岩に体を近づける技を学んだ。
③大内ライン(5.11b) NG フォールの嵐で上までなんとか抜ける。「テクニカルなルート」とコメントが付いている。4ピン目下の縦ガバ取りはまさにそれ。何回も落ちてやっと見つけたムーブはうれしい。
④登ってドッコイ(5.10b) 敗退 最強の5.10bだ!!
⑤大内ライン(5.11b) NG(1T) 中間部の縦ガバ取りはムーブに磨きがかかりびしっと決まったのにその上部の微妙な立ちこみで体が岩から離れてしまった。「登ってドッコイ」で指先を消耗したからという言い訳をしたい。このルートには二つ★をあげたい。
⑥フレンド(5.10b) リピート クールダウンにヌンチャク回収。

今日の上部エリアは貸切りだった。暑くなる前にまたこの岩場を訪れたい。
帰りは玖珠経由で小国のゆうステーションに寄ってお土産を買った。以前小国にいたフジミさんのお勧めは「阿蘇小国ジャージー 飲むヨーグルト」である。

 

 

遂に日向神の5.12にトライ!

2017.4.23  日向神クライミング

新緑の候、とにかく日向神で登りたかった。
早く着いたので別グループで来られていた久留米のミスター松村さんと道端の「四郎 5.9」でウォーミングアップ。
10時から常連の山崎夫婦、原口さん、熊本の長友さんらと合流してサンセットエリアへ。すぐ松村さんらのグループ5人もサンセットに来られて賑やかだった。

今日は遂に日向神の5.12aルート、「日曜よりの使者」に初めて取り付いた。しかも開拓者山崎さんのビレイとあっては光栄の至りである。ロープは9.8mm、60mを使用。
①日曜よりの使者(5.12a  B13 25m) NG
なんとか上までヌンチャクをかけることができた。2箇所難しいところがある。最上部は左からまわった。
②日曜よりの使者 NG
中間部のムーブは固まったが、最上部で直登を試みるも力なく敗退。

【写真は「善秋君のおかげです 5.11c」を登る山崎さん。右側のヌンチャクが「日曜よりの使者」のライン】

 

③プリティーウーマン(5.11a  B4 ) リピート
あわてず騒がずリピートできて自分の力が付いたことを実感。

【写真は「プリティーウーマン」にトライする松村さん】

④日曜よりの使者 NG
もう指先が痛くてカチ持ちができず、スリングを使って上まで行き回収。

4月下旬のサンセットエリアは新緑のやわらかい光に包まれていた。さわやかな風が吹き渡り、ウグイスの鳴き声も聞こえた。駐車場では今年初めてのイトトンボにも出会えた。
今日は完登できなかったけれども、5.12のルートに取り付くようになったことだけでも嬉しい。
開拓者の皆さんに感謝の意を表すのは、とにかくルートを登ることだと思う。

 

30年ぶりのファイナルスラブin比叡山

2017.4.15 比叡山南面スラブ

一日の山行を終えて、さあブログを更新しようと椅子に座ったら突然右太ももがつった。これにはどう対処したらよいのか分からず、ただ痛みに耐えて倒れていた。今日の厳しいスラブでの奮闘がこんな形で表れるとは・・・。

4月のあそ望山岳会の例会山行で宮崎の比叡山へ行った。メンバーはキーボウ、りりぃ、かんすけ、あり吉、かわこう、私、会員外Fさんの7人。
キーボウチームは左方カンテ、あり吉チームはニードル左岩稜からAピーク、私と若いかわこうくんはロックタワーから第1スラブをめざした。

ロックタワーから1スラは昔から私のお気に入りで、南面では一番変化に富んだ好ルートだと思う。比叡山は2回目だというかわこうくんにはお勧めである。
さて、二人で水場の裏から取り付こうとするとどうもルートがよく分からない。岩全体が苔むしていてほとんど登られていないようだ。見つけたボルトも昔のRCCのままである。確かに最後に登ったのは約30年前だが、ここは人気ルートだと思っていたので大変残念であった。

今日はちょうど「労山 クライミングフェスタ」が開かれていて、朝からどのルートもたくさんのクライマーで賑わっていた。やっと見つけた誰も取り付いていないルートが「みつばツツジの道 Ⅵ」であった。このルートはちょうど「みつばツツジ」がピンクの花をつけ、花見気分のつるべ登攀で快適に登れた。右側のTA、3KN、ナックル辺りはたくさんの人だった。ここは庵「鹿川」のIさんやKさんが遠来の方々の案内をされていた。稜線で昼食をとった。
【写真は、最終ピッチのかわこうくん」

下りは南側の径をとり、南面スラブの最上部に着いた。
南面スラブの最上部には約30年前に私と久留米のMさんでボルトを打ったルートがある。「スーパーファイナル Ⅶ-」である。下から見るとリングボルトやアルミハンガーが何も手がかりがないようなスラブに点々と見える。
当時、開拓はグランドアップが標準のこの地で、「難度の高いルートは下からは拓けない!」という思いで上から下がって試登をしながらボルトを打った。

30年前、私はどんな登りをしていたのだろう。自問しながら「スーパーファイナル」に取り付いた。
出だしからルートを読む目が要求される。足はまったくフリクション頼りだ。ボルトはリングとアルミが交互に現れる。どうしてこうなったかなどまったく思い出せない。残置の敗退ビナを越えて遂にテンションが入った。20mぐらい登った所で2回目のテンション。どこも核心でどこもピン間隔が遠い。次のボルトまで4~5mあり、どうみても5.11台のムーブが要求される。そしてプロテクションは楕円に伸びたリングボルトである。これでつっこむのは勇気ではなく無謀であろう。敗退。
【写真はスーパーファイナル】

春の太陽は高く、ヌンチャク回収のためにも「ファイナルスラブ Ⅵ」を登ることにした。これまた「熊本クレッテルカメラード」の開拓時以来30年ぶりであるが、こちらはステンレスボルトに打ち替えてあるので大安心である。
しかし昔からそうだったがボルトの間隔がかなり遠い。トポ図には(Ⅵ- 5.8)とあるが、今のグレードでは5.10台には十分感じる。これでは人気が出ないだろう。1ピッチ目(45m)の終了点のスリングが腐っていたので新しく替え、集めた敗退ビナを2枚セットした。これでラッペル(懸垂下降)も楽になる。
このルートは3ピッチ目の小ハングも面白く、空荷で登って3ピッチのラッペルで戻ってくる、午後からの1本に最適であろう。

ちなみに、「宮崎の岩場 クライミングガイド」p50に記載されている「ファイナルスラブ「と「スーパーファイナル」のルートグレードは逆であり、11行目の「左側」は「右側」の間違いである。
また、前述したように「スーパーファイナル」は核心部がリングボルトなので、リボルトされるまでは登らない方がよいと思う。

 

本匠は雨に強い

2017.4.2 本匠クライミング(今年2回目)

熊本からりりぃ、かなちん、Fさんと私の4人で乗り合わせる。
ヒロ、ヒロジー、ジュンの3人は都合により単独での参加となった。
前日の天気予報は晴れだったのに朝から小雨が降り二重の峠からはガス、北外輪山では雪まで降ってきた。
「もう、本匠ドライブか温泉でもいいや」という気分だったが竹田市まで来ると晴れ間も見えてきた。
午前中は井ノ上タワー。
①みつまたの花(5.11-) NG
前回は途中敗退だったがなんとかトップアウトできた。
前傾壁でのステミング技術を磨かねばならない。
②なめくじら(5.10) リピート
③よし!登ろう(5.11-) リピート
3本ともジローさんがクイックドローを架けられた。
午後の本番に向けて私は体力を温存させていただいた。

ところで、ジローさんが「なめくじら」を登っているとき、突然「ばっ」と服を捨てられたと思ったら、なんと大きなムササビが穴から飛び出してきた。
あまり遠くまでは飛ばずに、近くの杉の木につかまり、大きな二股で動かなくなった。
【写真は木の二股で休むムササビ】
今日は少し寒いのでまだ目が覚めないようだ。
突然起こしてごめんなさい、という感じだ。

昼になると突然暗雲が立ち込め、すぐに傘が飛ばされるぐらいの風雨となり急いで撤収となった。
前高神社で休んでいるとすぐに晴れ間が見えてきた。
さあ、これからが本番だ。
今回のトライのために、取って置きのドリンクを1本飲む。
④銀杏の小径から「げんこつ」にヌンチャク架け。
今回のトライのためにカラビナを買い、長ヌンを作ってきた。
マスターにもこだわらない。(ジャック中根の「クライミング道場」を参考にした)
【この写真、格好は決まっているがこの後左手のホールドが持てなくなった。実力者はこのホールドを持って上のガバに手が伸びる。ジュンさん撮影】
⑤げんこつ(5.11+) NG
今回のトライのためにネット動画を参考にしたが、そのムーブでは合わなかった。

げんこつ(5.11+)RP

【写真はヒロジーさん撮影、RP時のもの】

昨年度から三日間、7便目でのRPである。
「げんこつ」は上部につなげると「シュライン 5.12-」になる。
今の腕の調子ではまだ
難しいと思い、今回の目標は下部だけにした。
お楽しみは5月の連休か夏までとっておこう。

⑦ダンボ(5.10n) リピート
長いかぶりだが、ガバを使ってぐいぐい登れる。

帰りの北外輪山では季節はずれの吹雪になった。
外気温0度。
観光客は少なく、前回のような渋滞もなく本匠~大津は2時間30分だった。