日向神の日陰を求め、サンセットエリアで久留米のミスターMと登った。
2年ぶりに「善秋君のおかげです 5.11c 25m」に取りつき、2便目でリピートできた。
ちょうど太陽が尾根から顔をだし、逆光でいい写真が撮れなかったのは残念である。
「エルニーニョ 5.11a」を登った時はもう壁に陽がさしていたので、先日ホームセンターで買ったUVカット97%のフェイスカバーをして登った。
身も心もまるで忍者のようになる。
今日のサンセットは2グループ(合計5人)しかおらず、非常に静かであった。
午後は道端エリアで登った。ここには10名ほどの人がいて、それぞれの課題に取り組んでいた。
スラブ壁の左側では「春の光 5.7」にトップロープをかけて外国の方(男性A)が初心者(女性Bら)に英語で指導をされていた。
私は「太郎 5.10c」を登った。中間部の左手ガバが年々私に近づいてくるように感じてうれしい。
ふとスラブ壁を見ると、Aさんがトップロープをかけた終了点から左上の「春の嵐 5.11a」に向けてリード中で、1本ヌンチャクをかけて小ハングにへばりついていた。
そして、動かなくなってあえなく落ちた。
ヌンチャクのかかったボルトは隣のルートだから振られて危ないと思ったら、更に予想外の事が起こった!
なんと「ザザザーッ」とそのまま取りつきでビレイをしているBさんの足元まで10数メートルを滑落したのである。
初めて見た「グランドフォール」である。
見ていて何が起こったのか、まったく理解できなかった。
幸いなことにAさんはすぐに立ち上がり、指の擦過傷程度で大事には至らなかった。
私はすぐに駆け寄ってBさんのビレイディバイスを見た。
真新しい赤色のATCであった。セット方法に間違いはない。
と、いうことはAさんの墜落にびっくりしてロープから手を放したのか、それとも最初からロープをにぎっていなかったのか???
もちろんグローブもしていない。
ビレイをしていたBさんも外国の方で詳しいことは聞くことができなかった。
しばらくして、同じグループの女性の方がチョコ菓子を持って来られた。
お騒がせをしたお詫びであろう。
Aさんは腕を打撲もしていたようで、ロープを抜いて帰り支度をされていた。
ここでまた予想外の出来事が起きた。
なんと彼らは壁にヌンチャクを1本残置したまま帰ろうとしているのである。
さっきもらったチョコのお返しではないけれど、さっと登って回収をして差し上げた。
本当に今回は大事に至らずに良かったと、同じ岩場にいた者として心底そう思う。
ビレイをしていたBさんは「初心者」ではなく「素人」だろう。ハーネスもみんなで付け回していた。
こんな「危ない」人たちを見たのは初めてである。