50歳からの音読入門

2020.10.17(土) 読書 6

「50歳からの音読入門 齋藤孝」
齋藤孝は私よりも2歳年下だが写真の顔は非常に若く見える。
彼から学ぶことは多い。

「塞翁が馬」             淮南子
塞上に近きの人に、術を善くする者有り。
馬ゆえなくしてにげて胡に入る。
人皆之を弔ふ。
其の父曰く「此れ何ぞ福と為らざらんや」と。
居ること数月、其の馬、胡の駿馬をひきいて帰る。
人皆これを賀す。
其の父曰く「此れ何ぞ禍ひと為る能はざらんや」と。
家良馬に富む。
其の子、騎を好み、堕ちて其のひを折る。
人皆之を弔う。
其の父曰く「此れ何ぞ福と為らざらんや」と。
居ること一年、胡人大いに塞に入る。
丁壮なる者は弦をひきて戦い、塞上の人、死する者十に九。
此れ独り破の故を以て、父子相保つ。
故に福の禍と為り、禍の福と為るは、化極むべからず、
深測るべからざるなり。

「論語」               孔子
子曰わく
知者は水を楽しみ、仁者は山を楽しむ
知者は動き、仁者は静かなり
知者は楽しみ、仁者は寿(いのちなが)し

子曰わく
吾れ十有五にして学に志す
三十にして立つ
四十にして惑わず
五十にして天命を知る
六十にして耳順がう
七十にして心の欲する所に従って、矩をこえず

「草枕」               夏目漱石
山路を登りながら、こう考えた
智に働けば角が立つ
情に棹させば流される
意地を通せば窮屈だ
兎角に人の世は住みにくい
住みにくさが高じると安い所へ引き越したくなる
どこへ越しても住みにくいと悟った時、
詩が生まれて、画が出来る
人の世を作ったものは神でもなければ鬼でもない
やはり向こう三軒両隣りにちらちらする唯の人である
唯の人が作った人の世が住みにくいからとて、
越す国はあるまい
あれば人でなしの国へ行くばかりだ
人でなしの国は人の世よりもなお住みにくかろう

「夜空ノムコウ」          スガシカオ
あれからぼくたちは 何かを信じてこれたかなぁ
夜空のむこうには 明日がもう待っている
誰かの声に気づき ぼくらは身をひそめた
公園のフェンス越しに 夜の風が吹いた
君が何かを伝えようと にぎり返したその手は
ぼくの心のやわらかい場所を 今でもまだしめつける

あれからぼくたちは 何かを信じてこれたかなぁ
マドをそっと開けてみる 冬の風のにおいがした
悲しみっていつかは 消えてしまうものなのかなぁ
タメ息は少しだけ 白く残ってすぐ消えた
歩き出すことさえも いちいちためらうくせに
つまらない常識など つぶせると思っていた

君に話した言葉は どれだけ残っているの?
ぼくの心のいちばん奥で から回りしつづける

あのころの未来に ぼくらは立っているのかなぁ
全てが思うほど うまくはいかないみたいだ
このままどこまでも 日々は続いていくのかなぁ
雲のない星空が マドのむこうにつづいている
あれからぼくたちは 何かを信じてこれたかなぁ
夜空のむこうには 明日がもう待っている