「日向神」タグアーカイブ

日向神:正面壁 スピンネフリーライン登攀

2023.5.20(土) 日向神:正面壁 180

1982年8月、「奥日向神岩スピンネフリーライン」はベルグ・スピンネの菊池・福原ペアによって人工主体だった正面壁にフリーのルートが拓かれるというエポックメイキングな出来事だった。(岩と雪92号に掲載)
それから40年。
風化しかけたこのルートが2023年、山崎・福原ペアによってリボルトされた。
そこでこの正面壁に「ブルースカイ」というルートを拓こうとしている高田大輔さんから「オガタさん、一緒に登りませんか?」という誘いを受けた。
山崎タケシさんをガイドにして登ろうかと思っていたら「オレのガイド料は高いぜ!」と言われ、高田さんの誘いに乗った。

星原峠のシャクナゲは満開だった。

前日まで雨が降った。
そのため、乾きがあまり良くない日向神は静かな休日だった。

蹴ほぎ橋から見た正面壁。
取りつきが湿っているのでゆっくりと10時頃登り始めた。
1P 前半(高田) 下部が湿っているのでスパシーボ(5.9)から登る。
   後半(緒方) この辺りからよく乾いていて快適(5.10d)

1P後半をフォローする高田

2P (高田) バンドを左上して頭上クラックから段差を越える(5.11a)
トップの緊張感が伝わる。
3P (緒方) かなり頭を使うスラブ(5.10c)
4P (高田) 折れそうな石の横柱に乗り、ハングを越えて厳しい左トラバース(5.10d)

ハングを豪快に越える高田

この後のトラバースは高度感があった。
私はこのピッチがルートのハイライトに感じた。

5P (緒方) 核心の大フレーク(5.11b)

大フレークを越えた緒方

ハンドサイズのクラックが中にあるもののジャミングがきまらない。
ここで初めて落ちた。(疲れも出てきた)
このフレークはレイバックで行くのがセオリーだ。

6P (高田) せまい凹角から段差を越える。(5.11a)
この抜け口は態勢が非常に悪い。
ボルトの位置からしてライン取りが違ったかもしれない。

7P (緒方) 35mの草付きトラバース。(5.8)
足が痛くなりシューズをぬいでビレイ。

この後、草付きに入る

8P (高田) 左へのトラバースは続く。(5.10d)
草付きがなくなり掃除も不備で厳しい。
この後、樹林帯のフィックスロープを登り、赤いテープの先にある懸垂下降地点で昼食。午後2時18分だった。
水分とエネルギー不足で右腕がつり始めていた。

懸垂下降は右斜め下へ2回で6P終了点に達する。

終了点から見た日向神ダム湖と新緑
こんな終了点がいたるところに在る

この後は空中懸垂をまじえながら「元気です」ルートを懸垂4回で下まで。
ロープは60mシングル1本使用。
基本的にこのロープで降りる設定で終了点が設置してある。
しかし上部の斜め方向への懸垂は時間がかかるしリスクもあるので、歩いて下りる方法も考慮したい。

今日、ついていたのは午前中だけでも涼しかったことだろう。
これからの暑い時期は心身ともに厳しくなる。
初登が8月だったことは驚愕に値する。
(タケシさん曰く、40年前の夏は今ほど暑くなかった・・・)

ハートエリアの最新ルート

2023.5.3(祝) 日向神:ハートエリア 179

4月の下旬、ちょっとハートエリアに行かない間に新ルートが5本もできていた。
場所はメインエリアから右へワイヤーを3カ所ぐらいくぐった、マルチの「SKルート」がある「南面エリア」。
今日は4本をOSできた。
「ど・S (5.11b)」もリピートしてみた。
その後はみんなで岩場の整備をした。

「三葉躑躅:エクステンション(5.11a) 長友」 OS
下部の5.10部分でラインどりを間違えて5.11クラスのムーブで登ってしまった。
美レイヤーはゆきえさん。カメラはK1さん。

「睡蓮 (5.11a) 井ノ口」 OS
本日完成した井ノ口さんの2本目のルート、第2登。
すぐ左の「春告鳥(5.10d) 井ノ口」も面白い。

半世紀ほどの時を経て灯った我が家のランタン2個。
ホームセンターで買ったパラフィンオイルは煤が全くでなくてすばらしい。

「ド・S(5.11a)」開拓・初登!

2023.4.9(日) 日向神:ハートエリア 177

「菊鹿 みんなの森」キャンプ場でさわやかな朝を迎え、おいしい朝ごはんを戴いていざ今日も日向神:ハートエリアへ。

立待月(5.9)でアップした後、お目当てのprojectにトライ!

結果は本日1便目で初登に成功。
「ド・S (5.11a) B7 18m 緒方一成」とした。
その後すぐにゆきえさんが第2登された。
これからは「スラブの美魔女」と呼びたい。

写真は第3登されたナカさん。
この3ピン目からの左トラバースが一番緊張するところだ。
今日のハートエリアは10名と賑わった。

道路に下りると正面壁には西日が映えていた。

岸壁の二人は「ベルグスピンネ・フリーライン」リボルト後の初登をして(たぶん)下りてきているタケシさんと福原さん。
福原さんは約40年前の開拓者の一人だ。

帰り道はいつもの峠越え。
山里のネコは道路を自分の庭と思っている。

クラウンが来てもビクともしない。

昨夜一緒に焚火を囲んだゼルプスさんから「開拓用」にとカラビナを8枚戴いた。

同じくミー子さんからはロープを戴いた。
有り難いことである。

日向神~春キャンプ

2023.4.8(土) 日向神:ハートエリア 176

今日も自宅近くでキジを見た。
番(つがい)のショットは初めてだろう。
キジほど雌雄のちがいが分かる鳥は珍しい。
カラスやハトではどちらがオスかまったく分からない。

前日の朝まで雨が降っていたので、日向神峡の岩は濡れているところがある。
あわよくばハートエリアに誰かいて、projectの初登ビレイをお願いしようと思っていたが・・・、誰もいない。
日向神全体でも車はたったの3台。

projectへのアプローチが少し歩きにくかったので階段を設置した。

そして一人でも出来るのはトラバース。
写真右側の「ハーモニー」から左奥の「シンパウダー」まで約7mのトラバースルートを設定した。
意外に上りは一撃できたが、戻りの下りは2回落ちた。
今日はキャンプの予定なので早めに終了。

日向神の道端には「シャガ」が咲き始めている。

星原峠を越えると、真正面からタヌキが車に向かってきた。
慌ててカメラを探しているうちに車の横をすり抜けていった。
写真は「タヌキのおしり」だ。

今日のキャンプ場は「菊鹿 みんなの森」である。

NPO法人の管理で、大型のファミリーテント1張り1000円、私の山岳用テント(2人用)なら500円とリーズナブル。
広大な敷地に15張限定なのでまったくお隣のテントが気にならない。
オーナーと話ていたら私の小・中学校の先輩と分かり、薪ストーブが赤々と燃える部屋でおいしいコーヒーまでいただいた。(外は風が冷たかった)

今日の「焚火会」はマミリン、ミー子、ゼルプス、そして私の4人。
夕暮れ前から「居酒屋ミー子」が開店。

これは「しいたけとほお葉の豚バラ肉つつみ」、他にタラの芽やわらびの天ぷら、宮崎の「はまゆうポーク」などなど。
空にはだんだんと星が増え、北斗七星が大きく見える。
そして北極星を中心にして徐々に反時計回りに動いていく。
東のくぬぎ林からは満月が上り、静かなキャンプ場の夜は更けていった。

弁財天岩:東稜ルート

2023.4.2(日) 日向神 174

総会の翌日、女性に人気の「マルチ」を選択した。
初めての「弁財天岩:東稜ルート」である。
3パーティー9人で取りついた。

1ピッチ目をリードするキーボウさん。
非常にコケっているので、私たちのパーティーは右側のはしごを登って尾根にとりついた。
すると結構立った壁にぶつかった。
どうもここにフリーのショートエリアがあるのだ。
適当に真ん中のラインに取りついたが、5.11は十分にあり、ほぼA0で終了点に達した。しかしその上のスラブはコケが分厚く生えて久々に緊張したクライミングだった。

ビレー点に左下からキーボウさんが上がって来られた。

後方にはダム湖が見える。

ハナタテ岩方面は色とりどりの山桜がきれいだ。

岩稜の岩がとてももろい。
右下はサンセットエリアなので石を落とさないように慎重に登る。

対岸の正面壁では、タケシさんが「スピンネ・フリーライン」のリボルトに孤軍奮闘している。

最後は約30mの懸垂でサンセットエリアの上部に下りた。
久しぶりのマルチはなかなか面白かった。
稜線部では強風に吹かれたが、花びらを舞い上げる春風で心地よい暖かさだった。

午後は道端エリアへ。
①シンシア(5.11a) リピート
②新ルート(5.9) MOS

真っ黒く濡れているところを避けながら登る。
見た目よりホールドが大きく登りやすい。
③三四郎(5.10b?) リピート
ここはヒールフックが使える稀なルートだ。

十六夜の上(5.11c/d)初登

2023.4.1(土) 日向神:ハートエリア 173

日向神に向かう途中にある木彫りの像。
今まで馬と思っていたが、車を降りて近寄って見たら「カピパラ」だった。

3月にボルト打ちも含めて3日間トライしたprojectにさっそく取りつく。

何回も何回もイメトレした成果、本日は1便目で登れた。
「十六夜の上 5.11c/d B6 12m 緒方一成」の完成。
下部の3ピンは「十六夜(5.10c)」を使う。

第2登をねらうニッシーさん。
この写真の後、核心部を左からランジで攻めた。

外岩は久しぶりというユジンさん。
核心部で華麗な足さばきを見せていただいた。

今日はグリーンパル日向神のロッジで「あそ望山岳会」の総会が開かれるので、ハートエリアは会員でにぎわった。
午後は新しいプロジェクトの掃除をした。

今年度も開拓費用の一部を会から支給してもらえることになった。
ありがたいことである。

ワクワクが止まらない!

2023.3.19(日) 日向神 172 (ハートエリア)

3月11日の指ケガも癒えて、「今日こそ初登!」とワクワクしながら日向神を目指す。
2日前の雨で岩場が濡れていると思った人が多いのか、クライマーの数は少ない。それでも今が旬のハートエリアには7人。

① リズム(5.10b) リピート
微妙に湿っぽい感じはするが全く問題なし。
日当たりが良いのですぐに壁は乾いてきた。

② プロジェクト(十六夜の上) NG
実は1本目に賭けていたのだが人生そんなに甘くはない。
まあ、1便目は「QD掛け」と思う。

③~⑤ プロジェクト NG

今日の美レイヤーはゆきえさん。
トップロープなら私より上手い。カメラマンは天音さん。

下部は「十六夜(5.10c)」を登る。
初見だとなかなか手ごたえがあるだろう。

うまく登れているように見えるが、もっと良いムーブが見つかった。

核心部は越えたがまだまだ油断はできないところ。
結局今日は4便ほどトライして、指先が薄くなっても1テンまで来た。
スラブ系なのでトライする度に良いムーブが見つかる。
次回のハートエリアまで、ワクワクが止まらない。

このブログの読者にはクライミング好き、ロードスター好きの他に「昆虫好き」の方もおられよう。
今年の初レアものを紹介しよう。

3月12日、我が家の網戸にいた「イボタガ」である。
大きな動物の顔に見える。

ハートで指ケガ

2023.3.11(土) 日向神 171 (ハートエリア)

朝、日向神に行く途中で「カニのハサミ岩」に向かう澤田さんの車と手を挙げて挨拶。

快晴の日向神だが土曜日とあってクライマーの数は少ない。
今日のハートエリアはそれでも5人。
私の目標は2月12日に試登した「十六夜(5.10c)」の上にボルトを打って、初登すること。
まずはTr.で登るとなんとかなった。
さっそく道具を吊り上げて終了点を設置。
下りながらボルトを埋めた。
そして、ファースト・トライ。

う~ん、この右手アンダーは安定して取れるようになったが、その後は体が上がらない。
2回目も登れない。
今日は岩場の整備も頑張ったので明るい岩場になってきた。

ゆきえさんにTr.で登ってもらうと、新しいムーブが見えてきた。
左のルートは「シンパウダー」
3回目のトライではもう腕がつっていた。
新しいムーブを試していたら核心部でスリップ、右手中指がケガをした。
すぐに下りてキズパワーパッドを貼ったが、今でもズキズキする。
疲れた時は無理をすべきではない。

ちょっと失意の中、自宅近くまで帰ると畑の中にキジの頭が見えた。

これはオスだが、昨年はこの近くでメスが卵を産み、夏休みの間中観察を続けた。

少し早めに帰宅すると、春の陽気で草花が咲き始めていた。

植えっぱなしのヒヤシンスは小さな小株となってかわいい花を咲かせている。

昨秋に職場から持ち帰ったムスカリもたくさん咲いている。

昨年の7月に挿し木したアジサイが一冬を越して新芽を出していた。
さあ、どんな色の花が咲くのか楽しみ。

ハートエリア:開拓&掃除

2023.3.5(日) 日向神 170 

3週間ぶりの日向神(ハートエリア)である。
この間、「十六夜(5.10c)」から上のラインをずっと考えていた。

① 立待月(5.9)  リピート
② 座待月(5.10a) リピート
③ project 1 Tr.
苦労しながらもムーブがつながった。
④ リズム(5.10b) リピート
⑤ project 1 Tr.
ボルト位置決めと古ボルトの撤去。

左から普通のリングボルト。3~4回たたくと取れる。
次はダブルリングボルト。珍しい。
3つ目はRCCボルトではない ハーケン型のボルト 。ハンガー部分が回らない。
4つ目は径8mmのオールアンカーでハンガー部分が貧弱。ボルトはステンレスであるが、手打ちで穴を穿ったらしく全く深さが足りずに4cmほど頭が岩から飛び出して危険であった。

午後から「満月(5.12b)」を3便で登った楠田くんが来た。
今日は「スリッピーパズル(5.12a)」を登りに来たという。

結果は見事なオンサイト!
私は相当教えてもらって10便目に登れたルートだ。
見ていて、一挙手一投足がすべてベストな動きで、ルービックキューブを5秒で解くようなものだった。

⑥ 立待月~右側の壁の掃除

ざっと掃除をして試登してみた。
ラインが「よごへち曲がり」で相当厳しい。


今日の美レイヤーは天音さん。
1年ぶりのクライミングだったそうだが、練習して「リズム(5.10b)」をゲット。

指先ジンジン!

2023.2.12(日) 日向神:ハートエリア 169

今日の「ハートエリア」は賑わった。
金曜日の雨の影響は少ない。

① リズム(5.10a) リピート

② シン・パウダー(5.11b) NG 
久しぶりでホールドの使い方を忘れ気味。
ここを登って「十六夜」の上にTr.を降ろした。

③ 十六夜の上(project) Tr.

この写真の体勢から上部のアンダーをとりに行く。
アンダーが取れてもその後は右か左か迷う。
いろいろとやってみるがどれもうまくいかない。

④  十六夜の上(project) Tr.
午後からのトライはもうアンダーが取れなくなっていた。
指先の皮が薄くなってジンジンしている。

ここで今日は1本もイレブンを登れていないことに気づいた。
よし、シン・パウダーでノルマを達成しよう。

⑤ シン・パウダー(5.11b) リピート

今日の美レイヤーはミカさん。

核心部を越えたあたりで右前腕がつってきた。
やっとこさで登り切った。

シン・パウダーをTr.トライするゆきえさん。